冷たいものが染みる…知覚過敏ってなに?【後編】

冷たいものが染みる…知覚過敏ってなに?【後編】

前回紹介した症状に、当てはまるものはありましたか?
今回も同じテーマを取り上げて、代表的な原因や対処法などを詳しく解説します。
ご自身はもちろん、家族や友人に症状の心当たりがあるという方もぜひご一読ください。知覚過敏の疑いがある方に内容をシェアすれば、きっと喜ばれるはずですよ!

主な原因

歯の外側は「エナメル質」と呼ばれる硬い膜で覆われており、外的刺激から守ってくれています。健康状態が良好なときに、歯に痛みが生じないのはそのためです。
ちなみに歯科治療で歯を削っても、エナメル質のみであれば痛むことはまずありません。
歯に痛みが生じる「むし歯以外の原因」とは、一体何なのでしょうか?

ほとんどのケースは「ある症状」によるもの!

むし歯を放置していると、最終的に歯髄(神経)が蝕まれます。ここはすべての刺激を痛みだと捉える部分なので、冷たいものを口にすると温度が伝達して染みたり痛んだりするでしょう。
一方で知覚過敏は、象牙質(エナメル質の内部)が剥き出しになって起こります。「象牙質が出てくる」という点にだけ着目すれば、むし歯と変わらないように思えます。しかし知覚過敏は、むし歯菌が産生する酸の影響で歯をダメにされるわけではありません。
少し難しい話になりましたが、痛みが生じるメカニズムがそれぞれ違うということを理解しておきましょう。

考えられるほかの原因

歯肉退縮

歯肉退縮とは、一言でいえば「歯茎の後退」です。加齢や歯周病、ブラッシングの際に強くこすることなどが主な原因です。
歯茎が少しずつ下がって、本来覆われているはずの歯根が剥き出しになります。その部分にはエナメル質がないので、ちょっとした外的刺激でも痛みがはしるようになるでしょう。

ヒビや破折

上下の歯を合わせたり、どこかにぶつけたりすると大きなダメージを受けます。その結果ヒビや破折を起こし、刺激が内部にまで伝達しやすくなるでしょう。

加齢による咬耗

長年の使用によってすり減るという、いわゆる経年劣化のことです。年齢を重ねるにつれて、痛みが出やすくなるでしょう。

悪習癖

噛みしめや歯ぎしりなどの悪習癖があると、少しずつ歯にヒビが入ったりすり減ったりします。
また強いダメージを受けた歯が「くさび状欠損」を起こし、根っこの部分が欠損する恐れがあるでしょう。そこに刺激が加わると、痛みが生じるようになります。

歯牙酸蝕症

酸性の食べ物や飲み物を過剰に摂取し、歯が溶けてしまう病気です。
あなたは日頃、清涼飲料水や炭酸飲料、酢や柑橘類を頻繁あるいはダラダラと飲むことがありますか?
心当たりがある方は、知らず知らずのうちに歯を溶かしているかもしれません。
「ジュースばかり飲んでいると、歯が溶けてなくなるよ!」と、子どもの頃に親から注意された経験はありませんか?
その話は、歯牙酸蝕症と無関係とは言い切れないかもしれません。象牙質が剥き出しになり、歯が染みるようになるでしょう。

歯科治療

象牙質にまで達したむし歯を削るとなると、神経(歯髄)へ刺激が加わりやすくなります。特に治療の直後は神経の周りが敏感になるため、冷たい飲食物が染みやすくなるでしょう。

ホワイトニング

施術に用いる薬剤の刺激で、施術中あるいは施術後に痛む可能性があります。ただ、一時的である場合が多いので安心してください。

放っておけば症状が改善されるって本当?

これまで冷たいものに歯が染みていたにもかかわらず、気付くと症状が治まっていたというケースがあります。知覚過敏が、自然に治る可能性があることを意味しているでしょう。
ただ、経過観察をしたからといって必ずしもよくなるとは限りません。悪化したり、辛い症状に長期間耐えたりしなければならないケースも多いのが現状です。
そのような方は、なんとかして症状を緩和させたいのではないでしょうか?
歯科医院では、専用の塗布剤やコーティング剤などを用意しています。市販薬は現段階で存在しませんが、知覚過敏の人に向けた歯磨き粉は流通しています。例えば「シュミテクト」と呼ばれる製品には、神経の興奮を抑える成分が配合されています。使用し続けることで、症状の緩和が見込めるでしょう。
もちろん効果には個人差があるので、必ずよくなるとは限りません。しかしドラッグストアやネットで手軽に手に入るので、試してみる価値はあるでしょう。
症状が少しでも緩和されれば、普段の生活が楽になるはずです。

おすすめの対処法

1.専用の薬を塗布する

象牙質の剥き出しになった箇所が染みないよう、歯科医院で「染み止めの薬」を歯の表面に塗ってもらうというものです。効果には個人差がありますが、多少は症状が和らぐでしょう。

2.フッ素を塗布する

こちらも歯科医院で受けられる対処法で、歯の再石灰化を促すために行われます。エナメル質の剥がれた箇所が、染みにくくなるでしょう。

3.歯磨き粉を変えてみる

こちらは先述した通りの内容で、ドラッグストアやネットで市販されている「知覚過敏向けの歯磨き粉」を使って口腔ケアを行うというものです。神経の興奮を抑える成分が入っているため、使用を継続することで症状の緩和が見込めるでしょう。

4.レジン(歯科用プラスチック)で守る

食いしばりや噛みしめなどの悪習癖が見られる場合、歯の根っこが欠損して染みているかもしれません。その部分へレジンの補綴物を使うことで、歯が保護されて痛みを防げるでしょう。

5.マウスピースをつける

歯ぎしりも、歯が大きなダメージを受ける原因の一つです。就寝中に無意識下で行われるため、専用のマウスピースを装着して寝るのが有効な対策です。費用がかかりますが、できればオーダーメイドのマウスピースを作製してもらうのがおすすめです。

6.根管治療を受ける

重度のむし歯症状で日常生活に支障をきたしている場合、抜髄を余儀なくされるかもしれません。かかりつけ医に必要性を判断してもらったうえで、適切な治療を受けましょう。
冷たい飲み物や食べ物を口にして歯が染みる場合、むし歯や知覚過敏である可能性が高いです。後者はしばらく経てば症状が緩和するかもしれませんが、期間には個人差があります。
少しでもおかしいと感じたときは、歯科医院を早めに受診しましょう。まずは原因を突き止め、適切な治療を受けることがポイントです。

「どこの歯科医院に行けばいいかわからない…」
という方は、伊藤歯科クリニックへぜひご相談ください。患者さまの口腔状態を拝見したうえで、適切な治療法をご提案します。

投稿日:2023年2月20日  カテゴリー:未分類